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BOXMITH -きぞは工房ブログ-

きぞは工房代表「きぞはる」のブログ

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ぷらきぞはこを超えたい

きぞはるです。

新しい発想で、今までとは違った箱を作ってみました。

曲げぷらきぞはこです。(開発ネーム)

デコレーション面と、上の面の境目を、板を曲げて作ってみました。
それにより、ぷらきぞはこの弱点"角が痛い"を無くそうと。

(写真じゃわかりにくいので、立体モデルを。)

個人的にはすごく効果を感じ、手にフィットする感覚すら覚えました。

考えていたことを形にした結果としては、大変満足しています。

しかし、、、。
板をキレイに精度よく曲げるのが大変難しい。時間もかかりすぎる。
1箱分曲げるだけで30分くらい使いますし。
20箱トライして、完成したのは、B級品とも呼べない、それ以下の汚い仕上がりの3箱だけという結果でした。(さっきの写真でも一番キレイめであの程度の仕上がり。)

やはりまずは修業が必要そうですね。

以上

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3Dプリンター印刷物の溶接・溶着(熱溶着)

きぞはるです。


今回はジャグリングが一切出てきませんが、ご了承ください。

3Dプリンター印刷物の溶接・溶着についてです。(個人的には熱溶着と呼んでいます。)
ちなみに個人的には接着とわけて
3Dプリンターの重要な要素のひとつに、印刷物の接合があるかと思います。
3Dプリンターで印刷出来るサイズが、10×10×10cmのとき、20cmの物は印刷できません。
スペースを斜めに使ったとしても。

そこで、2つに分割して印刷、それらの印刷物を後から引っつけて完成させる手法はよく行われているかと思います。
他にも様々なシチュエーションで、印刷物を接合したい事があるかと思います。

接合方法としてよく聞くのは。
・ネジ、ボルト止め
・CADデータで、スナップフィットを設ける
・接着剤
あたりで、溶接・溶着についてはあまり話を聞かないなと思っていました。

私の調べ方が悪く、溶接・溶着についてのコミニュティをご存知の優しい御方は私を導いてください。お願いします。

ネジはスペースの制限を、スナップフィットは強度不足、などといった理由であまり好みではなく、接着をベースに考えたいのですが、、、。

そもそも接着剤がつかない材料も多い中。そもそもフィラメントを一度熱で溶かしてるわけだし。もう一度溶かして引っつけるのが1番な気がしたのが発端です。

拙いなりに1人でトライアンドエラーを行っていたので、今日は自分語りをしてみます。





半田ごて

一番最初に試してみてちゃんとつくじゃん!と興奮したことを覚えてます。
その後、温度調節半田ごてを購入し。溶接温度、開先(溶接用語)の大きさ、溶接部へのフィラメントの送り込み量等、まだまだ適当ですが。

導入のお手軽さはピカイチ
作業時間は結構遅い
半田ごての届く表面しか溶かせない
積層痕を熱で平にならすと、擦れた時の摩擦音をかなり低減できる
表面を半田ごてで撫でて強度を上げられる(気がしている)

普通の温度調整式半田こて


溶接面に開先を取り、別のフィラメントを溶接棒のように流し込んだ。
溶接棒なしでも、それなりには引っ付く。








ホットプレート

この為にホットプレートを1台購入しました。
面積の大きい箇所、作業時間の短縮が狙いです。
簡単な形状だとそのまま接着していますが、複雑な形状だと上手く接着する自信が無かったので、ガイドレールのような接着治具を検証していました。

実際に接着したかったものが大きくかなり複雑で、治具の印刷がベッドスペース的に足りなかったので中断気味。

上手く出来れば作業時間が早い。
加熱している間に溶けて寸法が縮む。
普通のホットプレートだと、表面の温度ムラが激しい。アルミの鉄板()を引くなども検証の余地ありか。

印刷物の表面摩擦が増える時がある。これがメリットがデメリットかはケースバイケース。(私はメリットにできた)

普通のホットプレートと、表面温度計。
ホットプレートの電熱線配置による温度ムラは結構ある。


温度ムラをなじませるためのアルミの鉄板()





加熱時間によりどんどん縮むので、寸法精度は出せない。
接着前、紫と白はすべて同じ高さだった。


加熱練習





グルーガン

通常のグルーガンだと温度が足りない中。
Amazonで見つけた謎の温度調整式グルーガンが280℃まで出せるのでトライ。
グルースティックは3DPで自作(φ8×150mmみたいな)。ここもう少し頭良くやりたい。
接着時間は早い。(グルーガンの加熱が異常に遅くトータルでは遅い)
強固に着く。母材を溶かし、肉も流し込むが行いやすい
温度調整が細かくできない上に、温度調整のレスポンスも悪い。ので、高温になりすぎ、気泡が混ざったりする。
いいグルーガンが見つかれば最強。どこかのメーカーさん一緒に開発しませんか?




泡っぽく出たやつでつけたけど、強度はなかなか。





おまけ編:3Dペン

グルーガンのようなことは出来るが、使える樹脂が限定されすぎてる。
何本か買って試したが、軒並みダメ。
いい3Dペンが見つかれば最強足り得る。(高温対応、温度調整、ダイレクト方式に近い送り出しが欲しい)
どこかのメーカーさん一緒に開発しませんか?







リベンジ編:いい半田ごて


トリガーを引けば半田を送り出せる半田ごて。
これでフィラメントを送り出せば楽になる。予定だった。
スムーズに送り出せたけど、使いやすくはなかったのでお勧めしない。





番外編:ヘルシオ(オーブン、ウォーターオーブン)

色々試したけど、全てが溶けすぎてダメ。
元々は印刷物の摩擦力の向上検証の一環だったけど、適切な火加減が無理。


立てた円錐が、目を離した隙に溶けて倒れてぐちゃぐちゃに。





未来編:エクストルーダー

左手に印刷物、右手にエクストルーダーを装備して、フットペダルを踏むと押し出し。みたいなことをしたい。
3DPから、エクストルーダーとメインボードを外して、なんやかんや魔改造して誰か僕に売ってください。
脳内イメージだと、接着自体は一番いい感じには出来そうだけど。
そもそもの取り回しの悪さや、細かいところの作業など問題も多そう。





まとめ

誰か僕を3DP溶接コミュニティに誘ってくださいお願いします。
どこかのメーカーさん一緒に道具開発しましょう!!!

試した中で可能性がありそうなのが。
お手軽クイック半田ごて。
大型一気ににホットプレート。
強度は一番グルーガン。(だけどまだまだ粗削り)

と感じています。

長くなりましたが、このようなことで意見交換できる人が出来たらいいな。

以上

ハチリンを作りました。

きぞはるです。

しばらく音沙汰がありませんでしたが、その裏側でハチリンを作っていました。



ことの発端は、DiNA君から競技性の高いハチリンが手に入らないものかと、連絡を頂いたことでした。


彼の意見と、僕のこれまでのジャグリング道具つくりのノウハウをすり合わせ、何種類かの試作品を製作しました。

普及しているハチリンのスペックを調査すると、平均的なジャグリング道具より大きい・重いといったことがやはり目につきます。

ですので、最初の試作では小さめ・軽めのハチリンを何種類か製作しました。




今はDiNA君の手に渡り、彼に検証をしてもらっている最中です。
続報をお待ちください。

以上

クラブ試作品の近況報告と試験販売

きぞはるです。

自作クラブの状況について報告がございますので、コレまでの情報をまとめる事にしました。

テーマは "軽いクラブ" です。
現時点での設計情報は以下の通り。

全長:510mm
重量:約155g
※開発中につき変更の可能性あり



軽いクラブを作るきっかけは、ズバリ周りからの要望が高かった為です。

特に、7クラブカスケードの投げ始めは膝の屈伸運動が必要で体がしんどい、という意見が1番の決め手になりました。
これを聞いて、"ちゃんと"軽いクラブを作りたいと思ったのです。

"ちゃんと"、というのはクラブの操作感はそのままに軽くするという事を示します。
せっかく軽くなっても本来の操作感が損なわれては元も子もありません。

結果的に重量比は、従来品のクラブを200~220gと仮定して約25~32%の削減となっています。
7クラブを行う際に片手で4本800g持っていたものが620gになる計算です。
5本持ってもまだ775g。
ラージリングやビーンバッグに追随できる軽さです。
それでいてクラブ本来の操作感は据え置きとなっています。

実際に使ってもらった感想も好評で、このままでいいからすぐに売って欲しいとの意見を複数頂いているほどです。

すぐに売って欲しいという意見。
たいへん嬉しいのですが、同時に戸惑ってもおります。
本来の工程であればこれから全国各地でテスターを募り、意見の収集と耐久力のテストに最低半年はかけてからリリースする為です。

しかし、そこまで要望が多いのであれば試験販売をやるのもアリかと思うようになりました。

なので、やります。試験販売!

■商品名
きぞは工房製クラブ試験版

■価格
5900円

■発売開始日時
12月18日(金) 22:00

何度も言いますが、耐久力はとりあえず人前に出せるだろうと想像してるだけの状態です。
屋外で高く投げて落とすような練習ではどうなるか分かりませんし、破損した場合の保証もできません。
今後仕様が大幅に変わる可能性も高いです。
しかし、それでも、軽いクラブを試してみたい!という要望1点だけは確実に応えられる代物です。

今回の自作クラブ、僕自身とてもいい仕上がりだと自負しています。
投げてしんどくなく、落としてうるさくなく、当たってそこまで痛くなく、クラブの練習が今まで一番楽しいです。
ただ、耐久力に確信が持てないだけ。

ジャグリング道具を製作する上で必ず壁になるのがこの“耐久力“というやつです。
検証方法が多岐に渡る上に時間もかかる。でも、良いものが出来たなら早くみんなの手元へ届けたい。でも、すぐ壊れては高性能でも意味がない…。
耐久力についてはこのジレンマが常に付き纏います。
今回の試験販売はそのような状況を打破できないかという挑戦の意味も含んでいます。

詳細な情報は公式Twitterから追って発信しますので気になる方はチェックしていただけけると幸いです

自作クラブ、何卒よろしくお願い申し上げます。

以上

デビルスティックが良い感じになりつつあります

きぞはるです。
最近デビルスティックを製作しているのですが、かなり良い仕上がりになってきています。
どんな性能なのか、現段階の情報をまとめてみたいと思います。



これがきぞは工房製デビルスティックです。
物作り系デビルスティッカーのHYSさん(@ShowAndHey)と共同で開発を進めています。

最大の特徴は、長さに比べて動きが遅いことです。
具体例を上げると、65cmの一般サイズ程度ながら75cmのロングデビルの動きの遅さを再現できる、かもしれないといった感じです。

開発の発端は、トリプルアイドリングの敷居を下げたいと思ったことです。
私の主観では、トリプルアイドリングが組み込まれたルーティンを見たことがありません。
ルーティンに組み込めるほどの安定性が無いからだと推測しています。

アイドリングの安定性・やりやすさとは何か。
この概念を道具視点で考えて試行錯誤しているのが今の状態です。


現時点で見据えている方向性は以下の3点です。

■ゆっくり動く
操作を楽にするため

■長くしない
技の自由度を狭めないため

■軽い
腕への負担軽減により、練習時間の延長、肉体故障の低減

さらに、カスタム性を盛り込みたいと考えています。
試作品ではスティックの両端の重りを交換できるようになっています。
重さを変えると動く速さ・全重量を変化させられるので、より好みの感覚でプレー出来るはずです。


試作品をテストプレーしてもらった感想では、長さはそのままに動きが緩やかな点に好評を頂いています。
トリプルアイドリングを目指さなくても、気に入る人は必ずいる道具に仕上がりそうです。

暫くは集中して製作していくので、応援頂ければ幸いです。

以上

正方形の優位性 - 正ぷらきぞはこ 製作後記 -

きぞはるです。

正ぷらきぞはこ(まさぷらきぞはこ)のリリースを開始させて頂きました。


商品ページはコチラ
https://www.boxmith.com/shop/series/zrycxnbztu/

一区切りついたので最後に私の思いを綴らせて頂きます。

一番言いたい事は、"正ぷらきぞはこ"は初心者から上級者まで広くメリットのある新しい道具だということです。


正ぷらきぞはこを見て、新しすぎる、難しそう、今までのシガーボックスの流れに沿っていない、等と思われている方がいらっしゃると思います。
実際、その意見は正しいです。私自身、シガーボックスを作ったつもりが異質な道具が出来てしまったと感じています。


一度頭をリセットして考えて頂きたいことがあります。
例えば、ジャグリング道具として楕円形のリングがあったとしましょう。
これで技をするとなるとトスやバランスで方向の制限を受けることになります。
それに対して、正円のリングはどうでしょうか。
方向の制限が無くなり技の自由度は上がるはずです。
楕円形を生かした技も存在するでしょうが、正円の自由度には敵わないのではないかと思います。

その上で今一度長方形であるシガーボックスという道具を考えたときに、正方形の方が出来ることが多くなるのではないかと考えたのです。
長方形のシガーボックスが主流であるのはあくまで先に長方形である葉巻の空き箱が始祖にいるからであって、ボックスジャグリングの可能性ということを考えれば正方形の方が向いていると私は考えます。


正方形のメリットとしては以下が挙げられます。

・回転制御が容易に。トス時もキャッチ時も満遍なく容易になります。
・挟みミスの消失。挟んだ時の方向違いが無くなります。
・挟めるタイミングが90°毎に訪れるので、タイミングの取り方に余裕ができます。
・斜めにしても対称性が保たれる。見た目の良さが担保され、マニピュレーションの幅が広がります。
・斜めを基本にした持ち方が出来る。L字やM字など。新しい持ち方を基本とした新しい技が生まれる可能性がある。



これらの特徴は、初心者に対して利点となるものから、中上級者の選択肢を広げるものまで様々です。


ここまで書いておいて何ですが、このブログを書くこと自体非常に迷っていました。
捉え方によってはシガーボックスという道具に対する否定であり、シガーボックスジャグリングに関わっている方々や歴史の否定にすらなりかねないからです。

しかし、私はジャグリング道具を作っている人間として、道具を変えることで楽に出来ることは積極的にやるべきだと考えています。
正方形にしたことで基礎技術の効率が上がり、より凄い技が楽に出来るのであれば優先すべきです。
結果的にJJFCSなどのジャグリングを総合的に競う場でボックスジャグリングの活躍する機会が増えれば幸いです。

正方形ボックス、"正ぷらきぞはこ"をよろしくお願い致します。


以上


P.S.
"正ぷらきぞはこ 小"をボールジャグリングの技術で扱うボーラー。
"正ぷらきぞはこ 大"をコンタクトジャグリングの技術で扱うコンタクトジャグラー。
が見れたら嬉しいのでよろしく!

製品版シェーカーカップ、完成しました。〜きぞはい・かずはいの紹介〜

きぞはるです。

きぞは工房として初のシェーカーカップ製品が完成しました。
しかも2種類。

それぞれ名前は、”きぞはい”、”かずはい”といいます。
値段はどちらも税込4900円。
色は3Dプリンターのカラーサンプルからお選びいただけます。

形の見分け方としては”きぞはい”の方がちょっと長くてスリムです。


【きぞはい】


【かずはい】


着手から丸2年。
正直、この文章を書いている時点でもまだ実感が薄いです。


最初は検証に耐えるものを3Dプリンターで出力するため、樹脂とひたすら向き合っていました。

そもそも3Dプリンターは耐久性を求めた制作に向いておらず、最初のサンプルも1回のトスキャッチで壊れるような状態でした。製品相当の出力など夢のまた夢。サンプルモデルの出力にとどめて、最終的には樹脂メーカーに製作依頼を出す予定でした。とはいえ、それでもサンプルモデルの検証は必要です。

そこから3Dプリンター樹脂と格闘して1年半。
偶然もあって、設計を考慮すれば製品相当の耐久力を持たせられるところまで辿り着きました。
ここまで来たらあとは設計を頑張るだけです。シェーカーカップ作りの文献なんて無いので、各寸法がどの性能に影響するかを試作・テスト・考察して割り出していくことになります。最後の数ヶ月は成果の蓄積と検証項目の増加が凄まじく、目まぐるしくも楽しい日々でした。


そんなシェーカーカップもいよいよ完成です。
制作のきっかけを与えてくれた、ヤモトさん。
テストと考察に尽力してくれた、けーすけさん、びのさん。
これまで協力いただいた多くのジャグラーの皆様、本当にありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。


肝心の性能ですが、当初の目論み以上のものに仕上がったと自負しています。

下の図の通り、従来のシェーカーカップに比べると風変わりな形状をしていますが、どの部分にも検証の成果が反映されています。



■大きく太いフチ
3Dプリンターで印刷するときの土台の為に面積を広げたところ、フチを使った技の安定へ寄与することに。

■角張った多面体のボディ
カップ同士の摩擦音を小さくしようと接触面積を減らした結果至った形状。ボディに面ができたので、将来ここを活かしたバランス技が出てきてほしい。むしろ出てきてくれ(願望)

■柔らかいボディ素材
シェーカーカップの形状は比較的剛性が高く、柔らかい樹脂と組み合わせたことで柔らかさとジャグリング道具としての使い心地を両立することができました。この恩恵は大きく、当たっても痛くない・音が静かになった・等々があります。

■きぞはい・かずはいの2種類展開
シェーカーカップのトス系統に、マルチリリースとオールリリースという2つがあります。検証の結果、これら2つの系統が、実は設計上相反する要素であることが分かりました。一つのカップで両方の系統を追求できたら素晴らしかったのですが、そうはいかないので2種類展開と相成りました。

“きぞはい”はマルチリリース特化、”かずはい”はオールリリース特化になっています。
性能に寄与する大きなポイントはカップの高さと角度です。
高さは5mm刻み、角度は0.5度刻みで多くのパターンを製作・検討した結果、先の図の数値に至りました。


ひとまずこれで、ものづくりは一旦終了です。
ジャグリング道具は使われてなんぼ。これから多くの人に実戦で使って頂くことになりますので、今が"きぞはい"・"かずはい"のジャグリング道具としてのスタートラインだと考えています。

ダメ出しや改善要望などがあれば是非お聞かせください。
実戦の評価を経て、皆さんに愛用して頂けるシェーカーカップにできるよう努力して参ります。


きぞは工房はこれからも道具制作で新しい側面を見せてゆきますので、皆様、どうぞご期待下さい。


以上

ジャグリング道具作り知識 〜中級編〜

きぞはるです。

今回はジャグリングアドベントカレンダー2019その2として記事を書かせて頂きました。
https://adventar.org/calendars/4216

テーマは、中級者向けのジャグリング道具作り知識です。

世の中には初心者と上級者向けの情報は多く溢れているので、あえて中級者に刺さる内容だけを記事にしてみました。具体的には、もの作りで重要なのに見逃されがちな要素を並べています。
また、伝わりやすさを優先して言葉の定義として厳密には正しくない内容もあることをご了承下さい。この先の世界は君の目で確かめろ!大丈夫!?きぞは工房の攻略本だよ?

皆さんの良き道具作りライフに貢献できたら幸いです。



◼️比重を活用して、理想の体積と重さを実現しよう
比重とは重さの詰まり具合を示す数値です。
水の重さを1.0とした比率の数値で表され、1.0未満なら水より軽い材質、1.0以上なら水より重い材質といえます。

道具作りをしてる人でよく見かけるのが、作り始める前に道具のサイズ感や重さがなんとなくでも決まっているのに、そこから比重の計算をせずに材質を選ぶ人です。
手ごろな材質でなんとか理想に近づけようと苦心するより、サイズと重さから比重を計算して材質を決めればもっと楽に理想に近づけます。
もちろん、サイズの体積の中には何もない部分もあると思いますので、そこも意識して材質を選定できるようになればよりスムーズに道具作りができるはずです。

以下に、良く使う材質の比重の概算値と僕なりの解釈を記載しておきますので参考にしてみて下さい。

木:0.5 (種類によって大分違う。0.2とか1.0以上もある。)
プラスチック、ゴム:1.0 (大抵0.9~1.2に収まる)
アルミ:2.7
鉄:7.8

この比重を覚えておくと、例えばプラスチックと木で同じ重さの箱を作る場合に、プラスチックの方が比重が高いので板圧は木より薄くしないといけない、ということにすぐ気づけます。
このような知識をつけて、モノ作り勘を養っていきましょう。

余裕があれば、比強度も把握しておくといいでしょう。
比強度は強度÷重さで表される数値で、重さと強度のバランスを見るときに使います。
比強度が高いと、”同じ重さでより強い” もしくは ”同じ強さでより軽い”材質であるといえます。
簡単に言うと、比強度が高い材質は”軽いわりに強い”のです。


◼️困ったら木で軽く作れ
ジャグリング道具作りは軽いほうが有利になることが多いです。

道具の完成後に重くしようと思えば、テープを巻く・板厚を変える・一部に金属を使うなど、手段が多彩でいくらでも出来ます。
しかしその逆、完成後に軽くする手段は道具の強度の兼ね合いもあり難しいことが多いです。
悩んだらとりあえず軽くなるように作ってみましょう。

で、軽くなるように作るのに適した材質は何かというと、木です。

木は”軽いわりに強い”の筆頭で優秀な材質です。
加工しやすい、安い、入手しやすい。一発限りの道具を作るのにはとても向いています。

欠点は自然素材ゆえに安定した重さが出ない上に反りが生じることなので、複数作成などを考えない限りはどうにでもなる気がします。


◼️接着剤は素材に気をつければ優秀
接着剤はネジや釘などに比べて弱いと考えている人が多いようですが、実際のところかなり優秀です。
使ったけれど接着力が弱くてダメだったと言う人は、もう一度、説明書の内容を厳守していたか確認して欲しいです。
接着剤の使い方は種類によってかなり異なる上に少し間違えただけで接着力が大きく落ちます。
塗る面、塗り方、接着するタイミング、乾かし方。想像以上に複雑な代物です。

ちなみに僕のオススメの接着剤は”セメダイン社 スーパーX”シリーズです。
用途が広くコレがあればとりあえず何とかなることが多いです。

とはいえ以下の材質に接着材を使うのは厳しいので注意です。
ネジや釘、もしくは機構で固定するなど別の方法を考えましょう。
・ポリプロピレン(PP)
・ポリエチレン(PE)
・PTFE(有名な商品名でテフロン)
・シリコーン


◼️複数作成時は歩留まりも意識する
歩留まりは「ぶどまり」と読み、簡単に言うと道具作りの成功率のことです。
材料を必要分だけ買っても全部成功するとも限りません。
道具を複数個作る際には歩留まりが低くなるように、材料や仕様、作成手順を見直すことも重要です。


◼️とにかくお店に行って情報収集をしよう
ここまで読んできても、具体的にどうすればいいのか分からない事もあると思います。
材質や組み立て道具など知らないとできないことは一杯ありますので、どんな種類があるのかお店へ情報収集をしに行ってみましょう。

僕のおすすめは100均・ホームセンター・手芸屋です。
お店に着いたら、棚の端から端までゆっくり見て回りましょう。
キッチン用品、洗濯用品、化粧用品、おもちゃ売り場、農芸品等々、隈なく見てください。
欲しいものは案外そんなところに転がってます。
お店も何店舗か回ってみると尚良いです。置いてある物の違いにも気付くはずです。
慣れてくれば、同じホームセンターでも何に特化しているのか、この材料はどのお店が安いかなどが分かってきます。


◼️工具を使いこなそう
ホームセンターで売ってる工具を全部眺めてみましょう。
もし使い方の分からない工具を見つけたら、その場で検索してみてください。
見たことや使ったことがあっても、検索してみると認識が間違っている工具も多々あるはずです。
工具を正しく理解することで、道具作りの方向性やできることの幅は確実に増えます。

例えば、水平器があるということは物を作る上で水平であるということに価値のあることが分かります。加えて、水平器にも値段の幅があり、機能や質に違いがあることも分かるはずです。
このように工具を観察することで、道具作りに新しい観点をもたらすことができるはずです。



こんなところでしょうか。
内容は中級者向けなのでヒントレベルのものばかりですが、何かの役に立てたら幸いです。
自作道具とはいかなくても既存の道具の改造に役立つこともあると思いますので、ぜひ道具作りに挑戦してみて下さい。

以上

分解できるボックスに挑戦中

きぞはるです。

現在、分解できるボックスを作りに挑戦してます。
開発名”コアブロックボックス”です。





コンセプトは2点。
コスパと携帯性の向上です。
ちなみに精度を落とさないのは大前提なので説明は割愛しています。


・コスパの向上
割れた板だけ交換できる構造にして、必要な板だけ買い換えればいいようにする。
これを実現するために板同士を繋ぐパーツとして”コアブロック”を設けました。写真2枚目のピンクのパーツがコアブロックです。今は3Dプリンタ製ですが、最終的には金属製にして半永久的に使える想定です。

・携帯性の向上
コアブロックと板の取り外しができて分解した状態で持ち運べる。遠征時など、荷物を詰める際にかさばりがちなシガーボックスをコンパクトにまとめることができるようになります。


とはいっても開発中ですので今回はコンセプトの紹介と現在の状況報告だけです。正直、自分でも頭の中を整理したいから書いてるって感じなので乱文になっていたらスミマセン。。。



荷物詰めする際にどうしてもかさばってしまうシガーボックスをどうにかしたい。分解できればどれだけ楽になるか。誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

かく言う私もずっと考えていて、要点として次の3要素を定めました。

・分解&組立が短時間かつ楽にできるか
1箱にかかる分解&組立時間が2分と考えても5箱あれば練習時間を10分ロスします。なんとか短くかつ楽に組み立てられるようにしたいところ。

・耐久性と値段をみてのコスパ
組立用ギミックが入るので、ギミックの費用分値段は上がる。構造が複雑なぶん耐久性も低下する。

・精度
単純に完成品の精度だけでなく、組立&分解の度に精度が変わる、練習していると組立ギミックが徐々に緩んで精度が落ちることも考慮する必要がある。


この3要素、どれかを優先すると他のどれかが必ず割りを食います。

組み立てやすさを優先するとギミックが複雑になってコスパが悪くなるし、その逆も然りです。精度は板の設計だけでなくギミックの設計からも影響を受けるので、精度を優先するためにギミック作成を丁寧にすると、今度はコスパが悪くなりそうです。

考えるほど深みにハマってしまう3要素のバランス決めをどうするか。これが分解可能なシガーボックスの要点です。


で、ここからがどうにも悩んでいる部分になるわけで。。。


バランス決めの切り口として、分解&組立をしたくなる状況を考えてみました。

泊りがけでジャグリングをしに行く場合(合宿・JJF・WJDなどなど)。これらのイベントでは現地で毎日組み立てる必要はなく、最初と最後だけで済みます。ここらを想定すると利便性が低くても許されるかも。

普段の練習会に行く場合。練習時間に対する分解組立時間の比率が大きくなるので、1箱5秒で分解組立ができる速さがないと面倒だと思います。これを満たす構造はありますが、コスパが悪いです。


次にコスト周りを考えてみます。

組立構造をギミックに頼らず板のねじ止めにすれば、新品を買う必要性が無くなり、板の交換だけで済みます。

ただ、この構造で精度を保つには穴の位置ずれは0.5mmも許されなさそうです。

試験的に数箱分の板を作る場合であれば、板の組み合わせを変えてなんとかなるかもしれませんが。
手作業だと割れた板を1枚だけ買っても穴位置がきっちり合う保証もありません。というかほぼ合わないでしょう。穴が確実に合うように設計に余裕を持たせると精度の低下を招くので、どちらにも振れません。手元に高度な加工ができる機械が必要になりそうです。(CNC加工機とか)

ついでに言うと、板同士の面を接着していないのは耐久的に影響が出そうです。割れた板を交換するコストと板の耐久度によるコスト。どちらが低くなるのか競争といった感じです。


製造側の在庫の問題もあります。

現実にこれが販売されたとして、きぞは工房は”板”の在庫を持つことになるのですが、組み立てていない板の状態のままだと反りが出やすくなってしまいます。反りが出ないように板の温度・湿度管理が必要となるので大掛かりな対応が必要になります。というか、多分ワインセラーを買うことになる。


以上が今、悩んで考えてとしている要素の全てです。

実現するまでには何かと問題が付き物です。遠い未来、これが完成したら”ぷらきぞはこ”が過去のものになるポテンシャルはあると考えているのでなんとかしたい。。。


以上

ジャグリングRTAってなに? -JJFで開催するに至った経緯-

きぞはるです。


皆様はRTAという競技をご存知でしょうか。

Real Time Attackの頭文字を取ってRTA。
意味は読んで字のごとくタイムアタックの事でありテレビゲームの用語です。

で、これをジャグリングの競技にしたら面白いんじゃないかと思って色々していたらJJFでイベントとして開催することになっちゃいました。

・JJF RTA

・JJFスタッフリスト


今回はJJFでジャグリングRTAシガーボックス編を開催するに至った経緯と、僕の考えについて書きたいと思います。


RTAを知ったきっかけは友人の紹介でした。
ゲームをいかに速い時間でクリアできるかを競う競技なんですが、これが派手さと特異さに満ちていて面白いんです。

同じゲームであってもクリア方法によって部門が分かれており、ゲーム内の収集物を全て集めてクリアする部門から、バグ技を使ってもいいのでとにかく速くクリアする部門まで様々。プレー中も予定通りとは行かず、ハプニングやミスをアドリブでねじ伏せる場面もあれば、タイム短縮のためにリスキーなプレーをとる事もあります。そして、これらの要素を実現するためにRTAプレーヤーは日夜ゲームを研究して腕を磨いています。全てはタイムを短縮するために、です。


そんなRTAの世界に興味を惹かれて動画を何本か見ているうちに、ふと「ジャグリングでもRTAができるのでは」と思うようになりました。シガーボックスパーフェクトガイドやボールジャグリング入門(共に株式会社ナランハ様発行)の技を通しでプレーして全ての技を成功するまでの時間を競うとか。その場合の最速タイムがどれくらいになるのかとか、いろいろ興味が湧いてきました。

競技の特徴としても面白いと思います。
時間を競う点はもちろん、技の精度に加えて技同士の繋ぎ方を考える楽しさが出てきます。ある技でミスをしても、自分の得意な技をミスなく素早く決められれば最終的なタイムで勝てる可能性が出てくるのも面白いです。


ここまで考えてみて結構イケるのではと思いましたが、しかし。残念ながら僕にはそのルールをクリアするだけの技量はありません。誰かに挑戦をお願いするにしては技のボリュームが長大すぎて依頼もしづらいです。
やる人がいない、という理由でジャグリングRTAは実現する機会を失っていました。


そのまま時は流れてWJD in OSAKA 2019。ここで転機が来ました。
はなぽん氏と雑談をする機会があり、たまたまジャグリングRTAの話を出したところ強く興味を持ってもらえたのです。

結果、なんとJJFでやってみようということになりました。
まさかこのような大きな舞台で初お披露目をすることになるとは。
しかし、素直に喜びたい反面、周りのジャグラーが参加してくれるかが不安になりました。

ゲームのRTAをそのままジャグリングに当てはめた場合、事前に通しで行う技リストを用意・公開して練習してきてもらう必要がありますが、これで本当に人が集まるのか?更には時間の計測方法を始めとした運営方法を考えると、元のRTAのまま持ってくるのは今はまだ無謀だとの考えに至りました。
そこで、JJFでは飛び入り参加でも十分に楽しめるレクリエーションになるように致しました。

やる技は当日にくじ引きで決定して1回に通す技数も数個に絞り、当日に見にきてもらえた人でも飛び入り参加できるような形式に変更。今回シガーボックス編とさせて頂いたのも、時間の計測タイミングや使う技の裁定を考えると他の道具の手が回らないと考えたためです。

時間計測タイミングの決定経緯を話すと、計測区間を「シガーボックスを床から離した瞬間 〜 全ての技を成功して床につける瞬間まで」としたのは周りから見ても開始と終了タイミングが明示的になるようにしたかったからです。
最後の技が終わった瞬間としてしまうと、技の終わりが不明瞭なバランス系の技やキャッチが怪しい場合の終わりはどこか、といった具合にタイミングが分かりにくくなる可能性があります。なので明示的に開始と終了タイミングが分かりやすくなるように設定しました。
このルールにする事で動画撮影後に別途タイムを測ったり、将来的には動画とタイムをSNSにあげて競い合っても解釈がブレないので揉める心配も無くせると考えています。


こんな感じで1つずつルールを決めて行き、ジャグリングRTAシガーボックス編は完成しました。
まずは今回のイベントを成功させたいです。ゆくゆくは他の道具での実施や、より多くの技を通しでやるRTAがやられるようになれば嬉しく思います。
あと、個人的な願望としては、ノーマル部門に普段他の道具がメインだけどシガーボックスの技ができる人が出てきて活躍するところとか、ハード部門でめっちゃシガーボックを上手い人が一心不乱に中抜きをやるところとかがみたいですね。色んな人の新しい一面が見えて楽しい光景になれば嬉しいです。

観戦でも参加でも構いません。
ジャグリングRTAをよろしくお願い致します。


以上